1. 先週のおさらい
ドル円は154.6円と高止まりの状態が続きました。米政府機関の再開により、延期されていた重要指標が今週から一斉に公表される見通しとなり、週後半にかけて値動きが大きくなる可能性があります。FRB高官の発言も複数予定され、12月FOMCに向けた市場の金利観測が揺れ動きやすい環境が整っています。
さらに、米株市場はNVIDIA決算(19日)を前に神経質な展開で、テック株主導のリスクオン・リスクオフが起きやすい状況です。日本側では日銀審議委員の発言も控えており、円高抑制の意図を感じさせるコメントが出る可能性も意識されています。
2. 今週の流動性とテーマ
最大の焦点は、延期されていた米雇用統計(20日)です。発表内容次第では12月FOMCでの利下げ予想が大きく動く可能性があり、週後半は特にボラティリティの高まりに注意が必要です。
19日公表のFOMC議事録も重要です。タカ派的な文言が目立てばドル高方向、逆にハト寄りであれば一時的なドル売りにつながる可能性があります。また、同日のNVIDIA決算次第で米株が大きく動き、金利や為替にも波及する展開に備える必要があります。
政治・地政学リスクとしては、米中関係やトランプ大統領の発言が突発的に市場を揺らす可能性があり、ヘッドラインニュースに敏感な1週間です。
3. 通貨・資産別の注目ポイント
【ドル円】
上方向は、米指標が強い場合、議事録やFRB高官の発言がタカ寄りの場合、NVIDIA好決算による株高が金利を押し上げる場合などが考えられます。
下方向は、雇用統計やPMIが弱い場合、米株安によるリスクオフで円買いが起きる場合です。
154〜155円は特に警戒ゾーンで、イベント前後の初動は追わず二段目の動きに乗ることが安全です。
【ユーロドル】
欧州PMI(21日)が材料。米データが弱ければユーロ反発余地はありますが、強ければドル買い優勢となりやすい週です。
【ゴールド(XAUUSD)】
米金利と逆相関が強まる局面で、雇用統計が弱ければ上昇しやすく、タカ寄り材料が出れば下落しやすくなります。
【株式(特にNVIDIA)】
19日の決算次第で相場全体のムードが変わりやすい週です。好決算なら金利上昇とドル高、弱ければ金利低下とドル売りにつながる可能性があります。
4. 日別スケジュール
11月17日(月):日)GDP速報値、加)CPI。米指標は小粒。
11月18日(火):豪)RBA議事録。米指標は小粒。
11月19日(水):英)CPI、米)FOMC議事録、NVIDIA決算。
11月20日(木):日)小枝日銀審議委員発言、米)雇用統計(延期分)、米)新規失業保険。
11月21日(金):日)全国CPI、欧州・英・米)PMI速報(製造・非製造)。
5. 先週の要旨
・米テック株に調整が入り、米金利は小幅に上昇。
・米政府機関が再開され、経済指標が今週から発表再開。
・中国関連の規制ニュースなどで市場ではリスクオン・オフが混在。
・高市政権の政策期待で日本株は堅調。
・ドル円は154円台を維持し、円安方向を模索する展開。
6. トレード指針(初心者向け)
【基本方針】
・雇用統計、議事録、NVIDIA決算など、大型イベント直後の初動には飛び乗らない。
・方向が確認できた「二段目」から入る方が明らかに安全。
・指標が集中する週のため、ロットは小さめに調整。
【守るべきこと】
・ストップロスは必ず設定。イベント時はスプレッド拡大もあり得る。
・154〜155円台は乱高下しやすく慎重に。
・兼業トレーダーは木〜金が本番なので無理な逆張りは避ける。
【推奨の立ち回り】
・USD/JPY:ブレイク狙いより押し目買い・戻り売り中心。
・XAUUSD:金利と株が鍵。雇用統計前はポジション軽め。
・イベント多すぎ問題への対策:「全部取りに行かない」。良いトレードを1〜2回で十分。
今週の結論
今週は「米雇用統計・FOMC議事録・NVIDIA決算」の三大イベントが重なり、相場が大きく動く可能性があります。初動のノイズに惑わされず、落ち着いた流れを確認してからのエントリーが最も安全です。ドル円は警戒ゾーンに位置しており、無理せずリスク管理を最優先に戦う週となります。
学びポイント:「イベント集中週は“二段目”を狙う」
イベントが多い週は、初動が過剰反応になりやすく、その後に反転するケースが頻発します。初心者の方は、最初の動きに飛び乗らず「方向が落ち着いた二段目」の動きに乗ることで、無駄な損失を減らしやすくなります。焦らず、流れが落ち着くのを待つ姿勢が大切です。